コーチングとは?知っておきたい使いかた

コーチングってなに?

コーチングと聞いて、あなたは何をイメージしますか?

広辞苑を見てみると、このような定義が載っていました。

コーチ【coach】
競技の技術などを指導し訓練すること。また、それをする人。コーチャー。

コーチング【coaching】

①コーチすること。指導・助言すること。

②本人が自ら考え行動する能力を、コーチが対話を通して引き出す指導術。

広辞苑より

コーチングといえば野球や陸上、水泳などスポーツのコーチングが出てきやすく、①のイメージが強いのではないでしょうか。
指導や助言により、選手のパフォーマンスを高めるための支援を行うことですね。

スポーツ競技においては「競技に勝つこと」を共通の目標として、選手とコーチとの間にパートナーシップが築かれます。
その中でコーチは、フィジカル面やメンタル面で、選手のパフォーマンスを最大限に高める役割を担います。

これはとてもイメージしやすいですね。

では②に書いてあるほうのコーチングとは、なんでしょう?

コーチングというスキル

「本人が自ら考えて行動する能力を引き出す指導術」とありますが、コーチングには、このようなスキルのことを指す意味があります。

もともとコーチという言葉は「馬車」に由来しており、クライアントの行きたいところへ連れて行くことを意味します。
そこから、クライアントの能力を引き出すという意味に転じました。

実はこの「本人が自ら考えて行動する能力を引き出す」というところがポイントで、このスキルはスポーツ競技はもちろんのこと、むしろそれ以外のジャンル、たとえばビジネスや個人のライフデザインで有効に機能します。

コーチングにおけるコーチの関わりかた

クライアント本人が自ら考えて行動する能力を引き出すために、コーチはどのように関わるのでしょうか。

ここで、世界最大のコーチング非営利団体である「国際コーチング連盟(ICF)」の定義を見てみます。

コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことです。

対話を重ね、クライアントに柔軟な思考と行動を促し、ゴールに向けて支援するコーチとクライアントとのパートナーシップを意味します。

https://icfjapan.com/coaching

ここには「対話によりクライアントに柔軟な思考と行動を促す」とあります。

つまり、コミュニケーションを通じて、

・クライアントが一人では達することが困難なレベルまで思考を広げたり
・ゴールと現状のギャップを認識したり
・ゴールに近づくためにできることを見つけることで行動につなげたり

という支援のプロセスが、コーチングであると言えます。

コーチングがどんなことに役立つのか

コーチングがスキルであるなら、何のためにそのスキルを使うのか、コーチングによってどんないいことが起こるのか、ということが重要です。

ここには2つの考え方があって、1つはコーチングスキルを身につけるということ、もう1つはコーチングを受けるということです。

コーチングスキルを身につける

もともとコーチングは、米国から日本へ個人の成長の手法として伝わってきました。
ところが日本国内では、コーチングのコミュニケーションスキルの部分に注目し、社員教育の一環として広まった背景があるので、マネジメントのためのコミュニケーションスキルとして認知している人も多いのではないかと思います。

実際に、コーチングではクライアントが自ら考えて行動する能力を引き出すために、様々なコミュニケーションのスキルを用います。

「心理的安全性を築くためのふるまい」「積極的な傾聴」「信頼関係の構築」「モチベーションを引き出すため、できていることに焦点を当てる」というような、効果的なコーチングセッションを構成するためのコミュニケーションスキルは、マネジメントはもちろんのこと、多くの対人関係の改善に役立てることができます。

コーチングを受ける

スポーツ競技の場合だと目標は明確で、勝つことですね。

ところがビジネスシーンや個人のライフデザインとなると、目標と言っても三者三様です。

目指すもの、達成したいレベル感がそれぞれ異なるため、外から持ってきた方法や解決策をそのままやってみても、うまく適用できないことがあります。

そんなとき、あなたの状況にあった効果的な方法を見出していくコーチングのアプローチが有効になってきます。

もしいまあなたに何かやりたいことがある場合、あるいは何かを変えたいという場合、コーチングを受けることで前向きに行動しやすくなるでしょう。

これは一般論ですが、「自分がどうなりたいのか」「そのために何をすればいいか」が明確になると、人は行動を起こしやすくなります。

コーチングでは、コーチが対話を通してクライアントから行動したくなる要素を引き出します。(コーチングのしくみの解説はこちら
そしてクライアントは、自ら納得感のある方向に向かって行動を起こすことができます。

コーチングが有効な場面の例

  • 経営者の意思決定のサポートに
  • 個人が今後のキャリアと向き合いたいときに
  • 組織内でのマネジメントに
  • 筋トレやダイエットなどの健康管理に
  • 家庭内コミュニケーションの改善に

コーチングの可能性

コーチングといえば、スポーツ選手や経営者のような、強い達成意欲を持った人が使うものだという印象が強かった気がします。

ですが、今後、社会の多様化が進み個人が活躍する時代においては、個人のことであっても思考を深めてどんどん行動にしていくことの重要性が、より一般化するのではないでしょうか。

これまでは自分の中で抱えるしかなかったようなことでも、カジュアルに誰かと壁打ちしながら整理してすぐ行動してみる。

そんな世の中には、コーチングというアプローチが価値を発揮するのではないかと思っています。