なぜ対話が行動につながるの?コーチングのしくみを解説します

この記事は、コーチングを受けようと思っているかたへ、コーチングってどんなものなのかイメージしやすくなるような視点で書いています。

さて、こちらの記事でコーチングとは「対話によりクライアントに柔軟な思考と行動を促すもの」と紹介しましたが、どんなしくみなのでしょうか。

行動につながる基本的なコーチングのフレームワーク「GROWモデル」

たとえば何か行動しようとするときのプロセスを考えてみます。

  • こうなりたい、これをしたい、といった方向性を決める【Goal】
  • いまの状況を踏まえて、Goalとのギャップを把握する【Reality】
  • Goalに向けてどんなことができるか考える【Options】
  • これをやろうと決める【Will】

これは各ステップの頭文字からGROWモデルと呼ばれ、行動主義的なコーチングではよく見られるアプローチ。
望ましい将来を定義してから計画を作っていくという、バックキャスティングな思考方法です。

人の脳は、イメージが曖昧な変化だったり、やることが分からないものに対しては不安を感じます。
そして不安を感じると、モチベーションも湧きにくいものです。

GROWモデルでは、目指す姿を具体的にイメージすることから始まり、各ステップを具体的に見ていくことで、理解不足から生じる不安が減り、実際の行動につがっていきます。

コーチングを受ける人(クライアント)が、ぼんやりとでも、こうなりたいなぁと思ったことについて、コーチがこのようなフレームを当ててステップを具体化することで、実現をサポートします。

このステップですが、自分でやってみても一定の効果が得られます。
いわゆるセルフコーチングです。

ポイントは、ノートに書き出したりしながら、各ステップの思考をアウトプットすることです。
アウトプットすることが、自分の考えを客観視し、新しい気づきを得るきっかけになります。

コーチングを受ける効果

このフレームさえ理解していれば自分でやってもいいんじゃないかと思ってしまいますが、コーチという第三者がいると、どんなことがいいのでしょうか?

話すことで思考が深まる

自分の考えていることを他人に伝える過程では、少なからず論理性が求められるため、伝えようとするタイミングで自然に頭の中で整理されます。

また、考えを声に出して発することで、新しい気づきが生まれる効果もあります。
コーチングでは「オートクライン効果」と言ったりしますが、自分の発言を自分で聞くことで、新しい思考が刺激される現象です。
「話しながら気づいたんだけど、」みたいな経験は、あなたにもあるのではないでしょうか。

この辺りの感覚は、学んだことを人に教えられるようになることで、自身の理解がより深まる事象に似ているなぁとも思います。

コーチは話を聞く専門家

コーチは「話を聞いて気づきを促すための人」です。

周囲の人にふつうに相談したところで、話を遮られたり、相手の話にすり替えられたり、いらんアドバイスをされたり、否定されたりした経験はありませんか?

本来、人は自分の話を聞いて欲しいものなので、しょうがないことです。

いろいろなスタンスの人と話してみると気づきますが、話を聞くことを目的とした人とそうでない人とでは、相手にしたときの話す側のやりやすさが全然違います。

特にコーチは、話を引き出すために、場づくりや傾聴のトレーニングを受けていますので、こちらの伝えたいことに集中して時間を使うことができます。

コーチが引き出してくれる

ここまで話す話す、と言われると、逆にそんな話せることがあるのか、心配になってきますが・・・、コーチングではコーチがいろいろな観点から問いかけることで、考えを言語化するサポートをしてくれます。

なので、コーチングを受ける人は、事前に話を整理して順序立てておいたり、という準備はいりません。

むしろコーチングではコーチの問いかける内容に沿って思ったままを話すほうがいいでしょう。

コーチングでは、日常のコミュニケーションでよく行われる質問とは違った視点の質問を受けます。
それは、コーチングで引き出したいものが普段のコミュニケーションとは異なるからです。

コーチングでコーチが行う質問は、コーチの情報収集のためではなく、クライアントの気づきを促すための質問です。

こういったコーチング特有の関わりかたは、日常のコミュニケーションではなかなか発生しづらいものです。

やることをコーチと「約束させられる」

コーチングは、単発のセッションだけではなく、継続的に行うことで真価を発揮します。

その継続的な関わり合いの中で、コーチはその都度、クライアントに対して「では、何をいつまでにやりますか?」ということを確認します。

クライアントは、自分がどんな行動をするのかを自分で決めて、それをコーチに宣言することになります。

ある意味「約束させられる」のです。

この「自分で決めたことを自分で決めた期限までにやり続ける」というのは、なかなかのプレッシャーだったりしますが、重要なのに後回しにしてしまいがちなことに対して、半ば強制的に取り組む機会になります。

プロのコーチを雇う意味は?

ここまで書いたプロセスは、コーチングを知っている人を相手に対話することで、ある程度実現できる範囲かと思います。

そこでもう一歩踏み込んで、プロのコーチにお金を払ってコーチングしてもらう意味はどこにあるでしょう?

フィードバックの質

話した内容をコーチが要約してみたり、コーチが感じたことを率直に伝えることが、新しい視点を得るきっかけになります。

これはコーチからの「フィードバック」と呼ばれます。

たとえば「今の話、何か不安に感じてるように見えますね」とか「〇〇の話をしているとき、本当に楽しそうな表情になってますね」など。

とくに優れたコーチからは、こちらが発した言葉以外の情報(表情だったり鳥瞰的な視点からの矛盾点だったり)をふまえた様々な角度でのフィードバックがなされます。
また、ちょっと耳が痛いようなことでもズバッと指摘されることもあります。

クライアントをポジティブに加速させることができる的確なフィードバックは、プロコーチの重要なスキルの一つです。

可能性を広げる視点

ひとりだと、自分のこれまでの思考の範囲を超えるのは難しいものです。

人の一般的な傾向として、「ホメオスタシス」という恒常性機能だったり、行動経済学で言われる「現状維持バイアス」が働いたりする関係上、自分だけではなかなか考えが及ばない範囲があります。
本来は必要なのにもかかわらず、考えることを避けてしまう領域もあるでしょう。

そのような「これまでの思考の枠の外」へ、如何にスムーズにクライアントを連れて行けるかという点も、コーチによって差が出てくるところだと思います。

スムーズに思考を広げるスキルというのは、そのコーチのこれまでのバックグラウンドや、心理学的な知識も影響してくるでしょう。

内省だけではたどり着けないところに設定したゴールを信じて進んでいくことができるようになる、ということも、プロのコーチを雇うことで得られる大きなメリットです。

コーチングを受けるという選択肢

今回はコーチングに関する大枠のしくみについて書きました。

ただ思考を整理するだけなら、ノートに書き出してセルフコーチングしてみたり、読書して新しい知識に触れるだけでも有効かもしれません。

しかし、これまでの延長線上から飛び出したい人、よりパフォーマンスを上げる必要がある人、大きな変化の可能性を求めたい人は、一つの手段としてプロのコーチングを受けてみる、というのも大いにアリなのではないかと思います。