しくじったときに「なぜ」を重ねるのは、やめたほうがいい。

パートナーや子どもがミスをしてしまったとき、「なぜそうなったの?」と問いかけることはありませんか?

実はこの「なぜ」という質問は、ちょっと注意して使う必要があります。

トヨタのなぜなぜ分析

なぜなぜ分析というトヨタ式の品質改善メソッドがあります。
課題に対して「なぜ」を5回くり返して根本原因をあぶり出し、改善につなげる手法ですね。
原因をしっかり掴んで再発防止につなげる。素晴らしい手法です。

ただこれを個人に向けると、いわゆる「激詰め状態」になってしまう可能性があります。
自分がミスして反省しているところに5回も他人から「なぜ」を浴びせられたら、それは辛いですよね。

そんなことに気づいていなかった以前のぼくは、その昔、OJT中の新人に対して成長のためにと思い、とあるうまくいかなかった結果について「なんで?」と問いかけました。

するとどうでしょう。3回目くらいに新人の目から涙がこぼれてきてしまったのです…
うそーん、と思いました。

個人のミスに「なぜ」はダメ

気をつけたいのは、「個人のミス × なぜなぜ」の組み合わせです。

というのも、なぜなぜ分析は組織内の課題に対してなぜなぜし、「仕組み」を改善していこうというものです。
「なぜ」という問いをきっかけに、うまくいかなかった「事象」を掘り下げることを目的としているものです。
誰が悪いという犯人探しをするものではありません。

一方、個人でうまくいかなかった結果に対して直接「なぜ」を突きつけると、お前が悪いと言われてるような気になってしまうんですね。言われてるほうは。

本人はミスだと気づいた時点で、自分の中で認識しているはず。
それを指摘してなぜなぜするのは、ミスという傷口に「なぜ」という塩をグリグリ塗り込んでいるようなものです。

これでは追い詰められるだけで気づきも成長もないどころか、関係も悪化するし、いいことはありません。

気づきや成長につながる聞きかた

ではどうするか。

まずは、うまくいかなかったという結果がお互いの共通認識となるよう、事実確認をします。

そのうえで、気づきや成長を促すための聞きかたをするなら、

「どうやったらできたと思う?」
「なにがあったらできる?」

のように聞くとよさそうです。
改善に向けたポジティブな余白に焦点を当てるのがコツです。

また、ミスではなく、逆に「うまくいったこと」を取り上げてなぜなぜすると、自信にもつながる良い気づきを得やすくなります。

このように、コミュニケーションを少し意識することで、身近な人と良い関係性が築けるようになりますので、ぜひ試してみてください。